みやこじんリレーエッセイはじめます!【田中祥子】

「ヘイ!リバーブルース」は、かれこれ十数年唄い続けてきた、我らがブルースバンドDIMPLESの十八番。(みやこじん創刊号「うたのいちvol.1」に収録)

この歌詞は、バンマスであるLittle rooftop田中の実体験をもとに作られています。

彼が就職のために関東へ旅立つという記念すべき日、わたしは進学先の仙台へと旅立つべく、なんと同じ新幹線に乗り合わせていました。この事実は、数年後、偶然二人が宮古で出会って知ることになります。

新たな地への期待と不安でいっぱいだったあの日。春一番の強風の影響で新幹線が止まり、盛岡駅から動けなくなってしまいました。このまま宮古へ引き返すことも出来る距離。戻るべきか、このまま進むべきか。いつ復旧するかもわからず、まだ携帯も普及しておらず、家族に電話するのも容易ではない。唄われているように「このまま就職をやめてしまおうか」と、心細さからそんな風に考えてしまうのもいた仕方ない状況でした。

あれから数年、年月が過ぎて。

まさか、故郷を旅立った同じ新幹線に、人生のパートナーとなる相手が同乗しているなんて思いもしなかったし、ましてや、あの日の状況をこうして唄にして、宮古の方に向けて発信しているなんて夢にも思わなかった。人生のシナリオライターがいるのなら、「やってだ!」と肩を叩いてあげたい。

憧れていた街での暮らしに何も不満はなかった。けれど、毎朝カーテンを開けて、目に飛び込んでくる冷たいマンションの壁に、息苦しさを感じ始めた頃からずっと、無意識で、宮古に戻るための理由を探していた気がします。

その頃、DIMPLESバンマスも、帰省の度に関東から700キロの道のりを車で行ったり来たりしては、「かっぱ寿司では物足りない!」と感じていたのです(笑)。

鍬ケ崎生まれの彼にとって、夏の風物詩といえば、「どんぶりご飯に山盛りのカゼ」。隣に住む叔父ちゃんの「ご飯持ってこい!」の一声でたらふく食べられるのだから。

都会では高級食材の「カゼ」。職場の九州出身の方と、どっちのウニが本物か?と激論を交わした事があり、夏の帰省の折、牛乳瓶いっぱいの「カゼ」を持ち帰り、見事黙らせたとか。

わたしも主人も一度は都会に憧れて、それなりに楽しい事も沢山経験しました。でもなぜか満たされない。そして、時期を同じくして宮古へUターンしました。他の場所にはない、不思議な魅力を放つ町「宮古」に。まさか、こんな面白い巡り合わせと展開があることなど予想もせずに。

鮭がうまれた川を目指すように、各々がこの地を想い、舞い戻ってくることは、最初から仕組まれていたことなのかもしれません。その謎解きをすべく、愛すべき馬鹿をやれる愉快な仲間たちを、ここで紹介していきたいと思います。わたしの個人的な「宮古人的感覚」ではありますが、あなたの「宮古人的感覚」を刺激出来たらうれしいです。

田中 祥子

みやこじんプロジェクト発起人

まんなかマルシェ実行委員会代表 ヒーリングサロンこまさや店主 本州最東端ブルース楽団DIMPLESKey/vo. 言い出しっぺ担当

コメントを残す